JanisDunn
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mathewanderson
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察知した所で横たわり手まで握られてるか Empty 察知した所で横たわり手まで握られてるか

Sat Mar 16, 2024 3:23 am
察知した所で横たわり手まで握られてるから逃げられない。


「いずれの話です。そんなに怯えないでください。今日は貴女がくれる安心感に包まれてたいだけなんです。」


入江は握った手に頬を寄せて目を閉じた。やたらと温もりが欲しくなると呟いた。


『冷たくなった稔麿に触れたせいだろうか……。』


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「不安やったり寂しい時って人肌恋しくなりますよね〜。今日は気持ちを落ち着かせる為に私にとってもいい機会やったんかもしれません。ホンマは凄く寂しい……。」


三津も本音を口にした。まだまだ後悔が付き纏う。


「あの時吉田さんの馬に乗っとけば良かったなぁって思ってまうんです。」


「うん,三津さんも今吐き出して少しでも楽になって?多分桂さんの事で心労絶えなくなるなるから今のうちに。泣いて。」


三津は入江の言葉に甘えてその胸に顔を埋めて泣いた。


「今は補い合いましょう。」


入江にぽんぽんと優しく背中を叩かれてるうちに三津は睡魔に飲み込まれた。
腕の中から聞こえる寝息に入江も安心感を抱く。ただ生きてるだけがこんなにも喜ばしい事だったのか。


静かな時間にふと師の言葉がおりてくる。


“九一,今まで生きて来て一日とて同じ日があったか?今日は今日,同じ日は二度と来ない。死ねば二度と入江九一として生まれる事はない。
だからもしお前に大事な人が出来たなら,その人の為に時間を使うんだ。その人の為に何が出来るのか。考えて実行しなさい。無駄にしちゃいけない”


『先生,私にとって大事な人は貴方でした。そして共に過ごした仲間も。周りに居てくれる人達全てが私にとって大事な人です。
もう迷いません。時間も無駄にしません。』


守るべきもの目指すべき場所,しっかりと道は見えた。


「ありがとう。」


三津の頬にある涙の筋を親指で拭った。


「九一,戻ってるか?」


外からの桂の声に一度三津に目を落としてから障子を見た。


「どうぞ。」


「……何故そうなってる?」


戸を開いて早々桂の顔が険しくなる。


「ね,昼寝してる私がそんなあっさり寝るはずないのに本当に無防備な人ですよね。
……と言うのは冗談で三津さんもまだ気持ちが整ってませんでした。泣き疲れて寝てしまいました。」


入江はしがみつく三津の手をそっと解いて体を起こして布団の上に座り直した。桂も布団の脇に腰を下ろして三津の寝顔を覗き見た。まだ目尻に光るものがある。


「今日は申し訳ありませんでした。明日から藩のために尽力します。」


入江は深々と頭を下げた。桂はその改まった態度に目を見開いたがすぐに顔を綻ばせた。


「心境の変化があったようだな。」


「はい,三津さんのお陰で見て見ぬふりをしているうちに抜け落ちてしまった物を再度取り戻す事が出来ました。これからは自分の役割を全うします。」


「そうか。お前からその言葉を聞けて安心した。
三津はそのまま寝かせてやってくれ。変なことして起こしたら承知せんぞ。」


「御意。」


入江の目に力強さが戻った。それには安堵するも入江の調子が戻ったからと言って今の厳しい状況は変わらない。


「神経すり減るぞ?」


「元より覚悟の上。後悔して死ぬぐらいなら少しでも前に進んでそこで尽きるなら本望です。」


「生きてれば何とかなる。無駄に死ぬな。」


桂はそう言って三津の頬を手の甲で一撫でしてから部屋を出た。


翌日も木島の説得にあたる。だが急進派の木島と慎重派の桂では全く話が交わらない。
長州の立場が少しでも良くなるように朝廷に嘆願書を送り急進派を留まらせる為に手を打つも上手くはいかない。
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